やっててよかったスタマイ

SEなら知っておくべきスタマイの5つの法則

ﾟ･*:.｡..｡.:*･ﾟﾟ･*:.｡..｡.:*･ﾟ ﾟ･*:.｡..｡.:*･ﾟﾟ･*:.｡..｡.:*･ﾟ
仕事の用事で刑事課を訪れた時のこと――。「え……、菅野くん？」「……おー。久しぶり」「どうしたの菅野くん。なんだかすごく、ぐったりしてない？」「え？そんなことないよ」（いや、絶対そんなことある！）刑事課は人が出払っているらしく、菅野くん１人だけだった。慌てて駆け寄り、菅野くんのおでこに手を当てる。（わ、思った以上に熱い……！）「菅野くん、喉の痛みとか咳、鼻水は？ご飯はちゃんと食べた？」「んー、そういえば朝からずっと喉が乾いてるかも。耳も何だかぼやぼやしてて遠い」「ご飯はなんか食欲なくて、コーヒーだけで済ませちゃった」（それ、完全に風邪の症状じゃないの……？）がっくり肩を落とす私に、菅野くんは不思議そうに首を傾げる。「菅野くん、とりあえずあっちのソファーで横になろう。少し休まないと」「や、へーきだって。ちょっと頭がぼーっとするだけだし」「いいから、こっち」「……相変わらず自分の体に鈍感なんだから」「ちょ……！」菅野くんの腕を引っ張っていくと、無理やりソファーに寝かしつけた。傍らにかけられていたブランケットをかけてあげると、菅野くんが嬉しそうに目を細める。「はは……なんか、お母さんみたいだなーお前」「はいはい。減らず口だけは一人前なんだから」話しながら、再びその額に手を乗せる。（とりあえず、濡れタオルを持ってきた方がいいかな）(明日の業務に支障が出そうなら、早めに服部さんにも知らせた方がいいかも）「お前の手……冷たくて、気持ちいい」「あ……」まるで子犬のように手にすり寄ってくる菅野くんに、胸がじんと熱くなる。（なんだろ、何だか可愛い）（……なんて、こんな時に何考えてるんだろ）「とりあえず私、服部さん探して、濡れタオルも用意してくるよ」「嫌だ」「え？」立ち上がろうとした私の手を、菅野くんがぎゅっと握りしめる。「1人にしないで。お願いだから……傍にいてよ」「菅野くん……」真剣な表情を向けられ、思わずドキドキと胸が高鳴っていく。（こんな菅野くん、珍しい気がする）（これも熱のせい、なのかな……？）「うん、わかった。病気中って心細くなったりするよね」「……へへ、そうなんだよね」私の言葉に、菅野くんはいつものようにへらりとした笑顔を浮かべた。（でもそれもきっと、私に心配させたくないからだろうな……）「わかったよ。ここにいるから、菅野くんは安心して休んで」「うーん。それじゃあ、もうひとつお願い。さっきみたいに、おでこに手を置いてて……？」「もう、仕方ないな」小さく息を吐きながら、菅野くんの額にそっと手を乗せる。すると何かに気づいたように菅野くんの目が見開かれた。「あれ？お前の手、さっきより温かくなってる。あー、もしかしてお前、さっきの俺にドキドキしたでしょ」「……っ」（もう、体調悪いくせに、変に鋭いんだから……）「いいからもう休みなってば。あんまりうるさいと、やっぱり服部さんを呼びに行くよ」「ははっ、ごめんごめん。それと……ありがとう」「うん」お礼を言うと、菅野くんはすぐにスヤスヤと眠ってしまった。（自分のことには、本当に無頓着なんだから）頬にかかった髪をそっとよけてやると、かすかに菅野くんの口元が嬉しそうに緩んだ。（こんな穏やかな寝顔を見るの、初めてだな）（まったく、こっちの気も知らないで……）風邪とは違う体温の上昇を感じながら、私はしばらく寝顔を見つめていた――。 

スタマイ おはようからおやすみまでくらしに夢をひろげる