スタマイ そばにいるよ。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚(あっ、これも参考になりそうな気がする!)とある日の定時後、私は資料作りの参考書を探しに、国立図書館を訪れていた。(よし、この本は借りよう。こっちは……うーん、ちょっと思ってたのと違うかな)メモを片手に色んな本を物色していると、突然ふっと手元が暗くなる。(え?まさかもう閉館――)「……マトリちゃーん。その資料なら、この本よりこっち」「うわっ、服部さん!?」「はいはい。図書館では静かにしなくちゃね?」振り返ると、本棚に片手をつき、私を包み込むようにして見下ろす服部さんがいた。(何で後ろに……ていうか近い!)驚いた私の顔を眺め、眠そうだった目に心なしか楽しげな色が宿る。「退庁してまでお勉強?お利口さんだねえ」「み、耳元でしゃべらないでくださいっ」「そもそも、どうして服部さんがここに……」「あー。何か静かなところ行きたいなーって」(もしかして、今頃また朝霧さん達が服部さんのこと捜してるんじゃ……)(いや、それよりとにかく近い!耳がソワソワする!)離れようとすると、服部さんが私を閉じ込めるみたいにもう片方の手も棚にかける。(えっ、ちょっ、逃げ場が)「はい、こっちの本どーぞ」「は、はい?」「だから、それ調べるなら、こっちのがいいよっていう親切なアドバイス」「あ……」「あとこれは『新・臨床薬理学』って本が詳しいし、こっちは昨年度の企画分析報告書、探してみんさい」「ありがとうございます……。服部さん、随分詳しいんですね?」「本は色々読むからねえ。この書棚も一通り目は通したし」「あ。その言い方じゃ、一回読んだから内容も覚えてるってふうに聞こえるんですが」「昔から記憶力はいいほうなもんで」(そんな馬鹿な……!)「あはは、またまた。からかってるんですよね?」「いくら何でも『記憶力がいい』の範疇超えてますって――」「もちろんマトリちゃんのことも覚えてるよ。何なら身長体重スリーサイズ――」「わーっ!?」とっさに大きな声を出しかけた私の口が、すぐさま大きな手で塞がれる。「しー。だから、大声は出しちゃ駄目でしょ?」吐息がかかるくらい――それこそキス出来そうなくらい間近から顔を覗き込まれる。ほとんど抱き締められる形でじっと見つめられて、一気に頬が熱くなった。「……っ」「それともまさか……ドキッとしちゃったとか」「あー、ごめんね、そんなに苦しかった?」「ぷはっ、違いますから! ドキッとなんてしてませんから、断じてっ」「ほーん?あんまり必死だと、逆に肯定に聞こえちゃうんだけどねえ」「なっ、あ……!」今度こそ何も言い返せず、さらに自分の顔が熱くなっていくのが解る。服部さんはとても満足げな様子で、変わらず面白そうに私を眺めていた。 (灬ºωº灬)これって、まさかの壁ドンから始まってるの!!?耀さんが耳元で喋ってたら、私きっと、いや、絶対ソワソワだけじゃない(笑)からの、キスが出来そうな距離……私、意識失うわ(/ω\)