「疲れが取れない…」と思ったときに試してみたい3つのスタマイ
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○○と廊下を歩いていると、他の課の女性職員がそのネタで話してるのが聞こえた。(ああ……なるほどな)隣で集中力を散漫にして歩いている○○に納得がいく。背後を気にしながら歩く彼女の肩を叩きながら告げた。「歩くときは真面目に歩けよ」「わっ!びっくりした……!なんですかいきなり……!」「そのまま真っ直ぐ歩くつもりなら止めねーけど」「え?……わっ!」防火扉が目の前に迫っていることにもまるで気付いていなかったようだ。いつ気付くかと思って黙っていたが、まさかまったく気付いてないとは思わなかった。「なにぼんやりしてたんだ?」「いえ……別に。ただ、あの、ちょっと質問なんですけど」「峻さんは今までどんなバレンタインを経験してきたんですか」「ん?」「チョコの10個や20個当たり前ですよね……」「ああでも、やりっぱなし、出っぱなしの生活力ゼロ人間だから、女の子が幻滅して0個という可能性も!」「すみません、経験値を尋ねるなんて野暮でしたね」思わずカチンときて、こっちも憎々しげに返す。「……ったく、こっちだってやろうと思えばできんだよ」「じゃあ一緒にチョコ作ってくれますか?」「……はあ?」俺の脳内で、○○と一緒にキッチンに立つ姿を思い浮かべる。揃いのエプロンを付けて、仲睦まじく菓子を焼いているところだ。“きゃっきゃうふふ”と花が咲いたような笑い声がどこからともなく聞こえてくる。(……いや、どう考えても気持ち悪いだろ)「やらねー」「えー!?」「やるわけねえだろ。行くぞ」俺が先を促すと、○○も渋々と歩きだした。 昼食もそこそこに、○○が一生懸命なにかを調べているのが俺の席からも見えた。なにを調べているのか気になっていると、別の人間が先に声をかけた。夏目「眉間の皺、すごいことになってるよ○○ちゃん。なにか悩んでるの?」「あっ、いや、これは……!」「ええと…相手をびっくりさせるシチュエーションって、どういうのがあるかなーって……」言いながら俺の方をちらっと見たものの、目が合った瞬間に慌てて顔を背ける。あれで隠しているつもりなのか。(こっちみんな。バレバレなんだよ、馬鹿)夏目「なに?闇討ちの計画でも立ててるわけ?」青山「驚かせるだけなら待ち伏せして曲がり角で出ていけば十分じゃないのか?」由井「なんだ!?尾行の話か!?」夏目だけでなく青山や由井までもが話に参戦して好き勝手に言われている。最早収拾はつかないようで、話がどんどんあらぬ方向へ飛んでいく。(さて、どうしてやろうかな) 「ありがとうございました……それじゃまた明日」俺がマンションの前まで送ると、○○はそそくさと部屋に入ろうと背を向けた。急ぐ彼女を引き留め、振り返りざまにキスをする。「んっ!?ん、なに、するんですかっ……!」「今ぐらい驚かせられなかったら、その時は○○さんも覚悟しておいてくださいね」「ななななに言ってるんですか!」口を尖らせて文句を言うその顔は、全然可愛くないはずなのに。(この顔……嫌いじゃない)「好きな女からもらうのは経験ねーから期待してる」頬を寄せて囁くと、○○は体を強張らせて顔を真っ赤にさせた。さらになにか言いそうになっている唇にキスをして言葉を呑み込ませる。「じゃ、また」ぽんぽんと肩を叩いて○○から離れると、俺は手を振って家路についた。